1.実物拝見
今春、年度末押し迫るころの話ですが、自宅にこんな葉書がきました。 |
未納料金請求書
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請求内容以前、貴方様の携帯電話、またはパソコンでご利用になられた有料番組サイトの利用料金が未納となっており、日々延滞金が発生している状態です。弊社が、貴方様のご利用になられた運営業者様から、未納料金並びに延滞金の確認及びお支払方法についてお尋ねする様、依頼を受けましたのでご連絡いたします。
緊 急お客様の場合、ご利用になられたサイトのログアウト(退会手続き)の方が済んでおりません。又、未納料金や延滞金のご説明もございますので、本書到着後、大至急ご連絡ください。尚、個人情報保護の観点からも、必ずご本人様からご連絡頂けますようお願い致します。
重 要万が一、お支払いやご連絡が無き場合、裁判手続き、また、金融機関の全停止処分、信用情報機関へのブラックリストとしての登録、さらに《給与差押さえ》の内容証明をご勤務先に送付させて頂きますので、悪しからずご了承ください。
(中略)
請求金額 下記まで
株式会社 ×××××××××
お問い合わせは0120-***-***
東京都××区×××*-*-* ×××ビル*F
受付時間 8:30〜16:00 定休日土・日・祝日 |
※弊社は悪質な架空請求の業者ではありません。貴方様がご利用になられた運営業者様から正式に依頼を受けた正規の回収代行業者です。心当たりが無くても一度でもサイトにアクセスすると登録が自動的にされ、料金が加算されるシステムが多発していますので十分にご注意ください。 |
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まず、調べる前におかしいと気がついたところを挙げます。
(1)請求内容の項目に内容そのものが記載されていない。何を対象にいくら債務が発生しているのかわからない。
(2)運営業者から依頼を受けていると言いながら、なぜ債務者に「未納料金の確認」を求めるの?運営業者から債権を確認して代行契約結んでいるのでしょう?
(3)退会手続きが済んでいないということがなぜわかるの?退会するかは意思であって、債権者でさえ知らないはず。なぜ債務者を知りもしない業者がその者の「意思」まで理解しているの?
(4)個人情報保護の観点から云々というなら、なぜ普通葉書で請求するの?
(5)「裁判手続き」〜そういう法律用語は聞いたことがありません。適法な回収代行業者と名乗るくせに素人的な言葉!また「金融機関の全停止処分」も「口座の凍結」のことでしょうか?
(6)アクセスで自動契約という手続きはありえないでしょう?「契約」とは民法上も当事者双方の合意が必要。約款等を読ませ、同意させる手続きなしにワンクリックで債権が生じることはないです。
とまあ、法律に疎い私にさえ一見して明らかにおかしいとわかりました。
さらに住所には該当するビルはなく、違う名称のマンションでした(インターネットで徹底的に調べました)。 これにはどう対処すべきか・・・こういうはがきについては「無視」の一言に尽きます。 |
2.参考にしたウェブサイト
架空請求に関する情報を集めたサイトは官民たくさんあります。
まず、公のサイトで確認してみました。
独立行政法人国民生活センターのサイトです。 →国民生活センター
これだけでも「放置でOK」とわかりますが、各地方の消費生活センターを見ると、多くの架空請求業者の名前が出てきます。うちに来たものも紹介されていました。 民のサイトもかなり充実しています。検索でトップにあるのが「夢なら」。 →夢なら
個人の方のサイトですがこれがすばらしく充実しており、多くの方からの情報が集まっており、新手の業者もいち早く紹介されるようです。公的資料とあわせて架空請求について学ぶならお勧めではないかと思っています。ちなみに、うちに来た葉書についてもさらに4点ほど基本的な矛盾点を指摘されていました。
ただ時折掲示板等を通じたいろいろな方からの主観的な意見のなかには、的確な判断を妨げるような記述も見受けられるという点はあるようですが、おおむね結論は同じです。さらに多くの方がそれぞれ調査・研究し、「マヌケな手法の実例」なども紹介されており、怖い悪質業者自体の幼稚さには思わず笑ってしまいます。 いえいえ失礼しました、こういう業者を存在すらさせてはいけない。私たちはこういうことを「商売」させてしまう隙を作らないように、正しい知識を蓄え冷静かつ毅然たる姿勢をとる必要があるのです。
ただ・・・はがきではなく封書で、しかも発送者が裁判所であるものが届いた場合は、単に無視というわけにはいかないようです。
これも紹介したサイトには載っていると思いますが、私自身も研究してみたいと思います。 |